小学生のプログラミング教育の必修化

人工知能 AI の実用化・普及で人間の仕事がなくなると言われる現代、これからの子育てをどうしたら良いのでしょうか。
NHK 教育テレビ、E テレ「ウワサの保護者会」の『AI 時代、何を勉強すれば?』を見て書いていきます。

AIとは?

人工知能 Artificial Intelligence の略です。

IT 用語辞典によると、「人工知能とは、人間にしかできなかったような高度に知的な作業や判断を、コンピュータを中心とする人工的なシステムにより行えるようにしたもの」です。
引用元:IT 用語辞典 e-Words http://e-words.jp/w/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E7%9F%A5%E8%83%BD.html

具体的には、人間が話す言葉を理解したり、経験から学習し推察して次の行動をしたりするコンピューターソフトやシステムのことです。
しかし、技術の進歩に伴い、AI の内容は変化しているようです。
10年前に人工知能と脚光を浴びていたものが実用化され普及していくと、もはや人工知能と呼ばれなくなり、より高度なものが人工知能として研究され、それを「AI 効果」と呼ぶそうです。

AI の象徴、自動翻訳を使うから、これからは英語学習は不要?

翻訳の仕事の場合

数年前にニューラル機械翻訳が実用化され、スムーズな翻訳ができるようになったそうです。
ニューラル機械翻訳とは、あらかじめ、英文と日本文のペアを大量に学習させている AI に英文を入力し、それまでのデータから適切な日本語訳を提示する機能です。
以前は、比喩的な表現が難しく、「He is a big star.」を、まさに「彼は大きな星です」と訳していましたが、ニューラル機械翻訳であれば、「彼は大スターです」と訳すようになったと言われています。

元のデータが多いほど、流暢に訳せるとも言われています。
しかし、データが増えても完璧には翻訳できないのが実情のようで、「ポストエディター」という「機械翻訳が出力した訳文を編集する人」という仕事が増えてきています。

ポストエディターの方の話です。
「まだまだ機械翻訳は100点のものを出していないし、AI 自体も100点のものを出していない。文章全体の流れや思考の道筋、論理から判断して言葉を選択したり、間違いであろう箇所を探すことができる。これも人間の翻訳の力だと思う」

人との会話の場合

自動翻訳でも会話はできるけれど、たどたどしくても、その人が選んだ言葉で伝えることに意味があり、そのコミュニケーションは機械に代替されないものであるといえます。
他言語が使えればビジネスはうまくいくし、また、人間関係もうまくいくので、英語学習はこれからも必要だということです。

英語学習不要と主張する将来パイロット希望の中学生の場合

とっさの判断時にリアルな会話が必要なので、英語学習が不要というのは危険だと思われます。
中学生の保護者の方は、お子様に対する説得材料ができて喜んでいました。

必修と言われるプログラミング教育とは何?

プログラミング的思考(論理的思考力)の育成が主たる目的

そもそも、プログラミング教育が必修になったのは、AI などの技術がどんどん発展し、先の未来の予測も困難になっている時代の子供たちの教育を考えるなかで、「コンピューターを積極的に活用する力やプログラミング的思考(論理的思考力)を身に付けさせる」ということのようです。
それ故、最近盛んになっているプログラミング教室のような、実際にゲームを作ったりという授業が行われるのではないということです。
今の算数・国語・理科などの授業の中で、例えば算数の図形について学ぶ際に、よりわかりやすくするための過程でプログラミングを使うということです。

もう一つの目的は、プログラミングを使って問題を解決する思考力(プログラミング的思考力)を身につけることです。
このプログラミング的思考力は、「段取りする力」と言い換えるとわかりやすいそうで、家庭科の調理が最適という声が大きいそうです。
プログラミング教育が必修だから急いでゲームを作るプログラミング教室に行かせなければ、という必要はないようですが、プログラミング自体に興味があるお子様には面白くてたまらないだろうと思います。

プログラムが「不要」になる時代

既に時代は、プログラムレス、ノンプログラミングに

コンピューターの世界の発達は目覚ましく、今ではプログラムを書く必要がないところまで進歩しているそうです。
それは、プログラムレス、ノンプログラミングという世界で、過去に作られた優秀なプログラミングの部品を組み合わせると、簡単に、しかも高度なプログラムが制作できると言われています。
もちろん、これまでにない高度な部品やサービスを作る優秀なプログラマーになる道もあります。
しかし、一般的なシステムであれば、現在のサービスで、安く、かつ簡単に作ることができるということです。

AIに奪われる仕事

オックスフォード大学研究者がアメリカの仕事を分析し、自動化される仕事と自動化されにくい仕事に分類した結果です。

自動化される仕事

レストランで同じものを作っている調理師
会計係
一般的な事務員
電話販売員
営業社員
運転手など
同じことを繰り返している仕事

自動化されにくい仕事

看護師
小学校の教員
弁護士
栄養士
デザイナー
ソフトウエア開発者
日々工夫をしている調理師など
何か新しいものを創ったり、人間関係を大事にする仕事

最新の研究では、自動化される仕事は 1割ではないかと言われているそうです。
また、新しい技術が生まれると、ポストエディターのような新しい仕事も生まれるので、そうそう悲観する必要はないのではということです。

AI時代に必要な能力は?

試行錯誤する力

単純な仕事は機械でもできるので、より高度な仕事、より創造的な仕事(新商品開発、新しいビジネスの起業)、より人間関係を大事にする仕事(本当の接客やサービス)が人には要求されるそうです。
すなわち、新しいものを生み出す力、新たな環境にチャレンジする意欲です。

それらの力をどうしたら生みだせるかというと、「やってみるしかない」に尽きるということだそうです。
そのために家庭教育で大事なことは、「試行錯誤する力」「挑戦する心」「発想力」「決める力」「伝える力」「めげない心」を身に付けさせてあげることです。
それらが合わさって、試行錯誤がどんどんできるということです。

どのようにして試行錯誤をさせる?

学者の方からは、お子様にいろいろなものの企画を任せるという方法が提示されました。

予算5000円でお母さんの誕生日を仕切らせる

子供自身が考え、調べ、決めて実行する。
それを親は信じて任せる。
成功したら喜んであげる。
失敗したらスルーしてあげるか、大笑いしてあげれば、それが何よりの経験になるということでした。

問いを持つ力

有名な AI 研究者の言葉が紹介されました。
「 AI はうのみにする。しかし、人間は問いをもつ」

「何のために生きるのか?」
「この仕事は何のためにやるのか?」
このような一つ一つのことに目的と意思を持つ、問いを持つ人材が必要になるとも言われています。
そのために親ができることは、激変する時代を生きていくうえで、「子供にとってどういう力が必要か」という問いの前に、親である自分自身もこれから何十年間も働いて生きていかなければならないうえで、何を自分自身が大事にして生きていくのかについて、親である自分自身が問いと目的意思を持っていることが、子供に伝えるうえ、一番始めにしなければならないことだそうです。

まとめ

試行錯誤することの大切さと育て方は、算数パズルなどを紹介したところでも出てきました。
単に計算だけの学習ではなく、算数パズルや図形を学習することで、お子様にこれからの時代を生き抜く力を育ててあげてください。

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